恒常的漏水監視で効率向上

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要約

本稿では、恒常的漏水検出監視装置を購入した米国、欧州、中東およびオーストラリアの水道会社からの情報を整理し、以下の話題について構造的な形式で結果を提示します:

    • 恒常的監視の根拠
    • 異なる製品の特徴評価
    • 導入ゾーンの選択
    • 設置上の課題
    • データの収集と検証
    • 誤認アラームの取扱い
    • 運用手順の変更点の管理
    • 資本回収期間の計算
    • プログラム拡張の可能性
    • 恒常的漏水監視の運用上のメリット

    この目的は、知識、経験、運用上のメリット、経済面のメリット、および水損失の成果を共有することにあります。

    恒常的漏水監視システムの画面キャプチャ

    恒常的モニタリングの概要

    恒常的漏水モニタリングは、過去5年間に、多くの水道監督局が実施してきたコンセプトです。音響記録器が、磁気装着でバルブおよび給水栓の上に配備されます。圧力が最大で環境ノイズが最も少ない早朝の数時間に、ノイズレベルを記録するようにプログラミングされています。データを注意深く分析すると、ノイズのレベルおよび一貫性に基づいて、漏水の確率を計算できます。このデータは、SMSまたはGPRSにより(システムに依存する)、ホストPCまたはウェブサーバに毎日送信されます。データ送信コストを最小化するため、全ての自動記録器にモデムを装備しているシステムもあれば、データ回収装置にリピーターを用いているシステムもあります。ほとんどのシステムはマップ上でデータを表示し、自動記録器をカラーコード化し、結果を表形式で維持します。一部のシステムは、正確な漏水位置を示す相関機能を持っています。(図1.1参照)

    恒常的モニタリングの根拠

    恒常的漏水モニタリングには多くの根拠が存在しており、それぞれの水道局について個別に評価業務を行うべきでしょう。検討すべきポイントは以下の通りです:

    • 頻繁に漏水データを取ることで、漏水の継続時間を減らす
    • 漏水が小さいうちに発見し、顧客への供給を停止しなくても計画的かつ管理された方法で修理できるようにする。
    • 重要箇所をモニターすることで、中断を招くような破裂が起きないようにする。
    • 最新技術を使って実験し、現在の運用方法を最適化するための助成金または研究予算。
    • 水損失を早急に減らしたいという希望。DMAに関心がないか、またはDMAが実現されるまで待ってから漏水検出を開始する用意ができていない。
    • 造水コストが高いので、無駄にできない。
    • 新しい水処理場または貯水場への投資を先延ばしにできるように、漏水を減らす。
    • 環境保護局が、水損失が減少するまで、水の割当を増やすのを許可しない予定である。

     

    異なる製品の特徴評価

    音響記録器は、「車中」という最も一般的なデータ収集形式を使って、何年も前から継続的に導入されてきました。無線を使ってデータを移動中の車両に送信する機能は、いくつかの自動記録器のブランドから提供されています。データが定期的に回収される場合、この技術は有効です。しかし、運用スタッフの人数およびジョブローテーションが減少し、交通量が増えますので、漏水継続時間を減らせるだけ十分頻繁にこのデータを回収できるようにするのが困難でした。あるエリアの立ち上がり速度を計算して、通常はエリア毎に調査頻度が決定されます。通常、この頻度は、毎週から年4回までの間で変化します。

    過去数年の間に、データをオフィスまたはホスティングしているウェブサイトへ毎日送信するような漏水モニタリングシステムを設置する水道局が増えてきました。このシステムのメリットは、無人であり、運用スタッフに頼らなくてもデータを収集できるという点です。毎日届くデータを使うことで、反応時間が著しく増加しますので、漏水継続時間が減少します。これは水の損失にきわめて好ましい影響を与えます。これらの無人システムの多くは、自己学習型アルゴリズムを導入してシステムのインテリジェンスを向上させることができるという追加的なメリットもあります。これにより、音が静かな漏水も発見可能となり、誤認アラームを減らすことができます。無人漏水検知システムを評価する場合、検討すべきポイントがいくつかあります:

    • ノイズ自動記録器か、相関ノイズ自動記録器か?
    • 個別SMS通信か、GPRS収集装置への無線通信か?
    • 音響自動記録器か、周波数ログ機能の音響自動記録器か

    ノイズ自動記録器は通常100メートルの範囲内でも位置を特定しますが、相関ノイズ自動記録器は1メートルの範囲内で漏水の正確な位置を示します。交通量の多いエリアでは、日中に相関を行うのは不可能です。相関自動記録器は漏水を発見してピンポイントで場所を特定することに関わるコストを大幅に削減し、漏水の持続時間を数日短くします。相関自動記録器は、データを毎日収集し、ノイズ自動記録器では見つけられない難しい漏水も発見します。通常、これらは大きな漏水です。同じ場所について、数日連続して相関を行うことで、信頼性レベルが向上し、誤認アラームの可能性を減らします。

    SMS自動記録器は、全ての自動記録器にSIMカードを必要とし、毎日、毎週、毎月、またはアラーム時にデータを送出するようにプログラミングできます。SMS自動記録器は配備が最も簡単かつ迅速であり、一時的なモニタリングには理想的です。SMS自動記録器は相関を行わず、送信するデータ量も制限されています。全ての自動記録器にSIMを持たせるためのコストは、配備期間が5年を超過するなら、高くつく可能性があります。

    自動記録器の無線、街灯に取り付けたリピーター、貯水塔や高いビルにあるデータ収集装置を使っている自動記録システムは、GPRS経由で大量のデータを経済的に送信できます。各データ収集装置が平均して30~40の記録ポイントからデータをもらうとすると、通信コストは、SMS自動記録器が負担するコストの数分の一になります。このような通信方法を使うことで、音響記録などの追加データを使った相関や周波数分析が可能となります。SMS自動記録器に比べて、設置は少々時間がかかり費用も高くなりますが、それでも、3~4日で80の記録ポイントを持つシステムを設置できます。このシステムの初期資本投資は、必要となるハードウェアが多いので、高くなるのが普通です。しかし、運用効率が高いので、差額はすぐに回収されます。

    音響自動記録器は、これまで、ネットワーク内の様々な定常的ノイズを漏水と解釈し、たくさんの誤認アラームを作り出してきました。より高度なシステムでは、ノイズレベルだけでなくノイズの周波数をモニターし、そのノイズが機械的か電気的か、または漏水かを決定します。 

    温度などの自動記録器詳細データを表示した画面キャプチャ
    Wi-Fiネットワークに接続されたデータ収集装置

    寒い天候ではバースト(噴出)率が上昇します。一部の高度なシステムは、温度の分析も行います(参照:図1.2)。

    お客様が行った最近の開発では、データ収集装置を、市内全域のwi-fiネットワークとインタフェースさせています(これは図1.3に示されている通りです)

    導入ゾーンの選択

    水道局は、選ばれたゾーンについて恒常的モニタリングシステムを導入したいと考えることが多い。システムが評価目的のトライアルである場合、トライアル前とトライアル中に、データを取得するデータ自動記録器と流量計を持っておくことが重要です。トライアルの場所は貯水ゾーンが最適です。短期間のトライアル中に少なくとも1つの漏水を発見できるくらい大きく、流量をモニターできるような安定したゾーンとすべきです。

    漏水の多いゾーンがよく選ばれます。これらのエリアで定期的に調査するための費用は高くなりますが、水損失を減らし効率を向上させる確率は高くなります。「漏水の多いゾーン」を定義する場合、最小夜間流量をベンチマークに使うようにすべきです。高いILI(インフラ漏洩指数)を持つゾーンは漏水がない可能性があります。 

    「能動的漏水制圧」を実施していない水道局の多くは、「漏水の多いゾーン」がどこにあるかを知らず、現実には漏水がたびたび表面化するエリアをそれだと考えています。トライアルを実施する場合、トライアルのために漏水の多いゾーンを選定する前に、貯水ゾーンの水位において水収支を行うことを推奨します。

    遠隔エリアにおいて漏水を検知すると、現場までの移動が長くなるので、水道局にとって最も高い費用となります。これらのエリアで恒常的に漏水をモニタリングすると、漏水を特定し修理するのに必要な訪問回数が減少しますので、運用コストを大幅に節約できます。

    住宅地は、的漏水モニタリングシステムを設置するのが最も簡単なエリアです。通常、ここには、一定の間隔で取付倶や給水栓があり、SMS自動記録器用のGSM信号が良好で、無線リピーターの取り付けるための街灯がたくさん存在します。

    漏水モニタリングシステムをCBDに設置するのは、少し難しくなります。高いビルが通信電波を跳ね返し、密閉します。しかし、複雑なネットワークや高いレベルの環境ノイズのため、他の方法で効果的な漏水調査を実施するのが非常に難しい場所でもあります。

    図1.4 ブラケット付きバルブスピンドルに配置された音響自動記録器
    図1.5 地中給水栓にはまるように開発された音響自動記録器の写真
    図1.6 スチール製ケーブルタイで給水栓に固定された相関ノイズ自動記録器

    設置上の課題

    通常、バルブボックスは非常に小さく、バルブスピンドルの上または横に自動記録器を据え付けるだけの余地がないことが多い。このような場合、傾斜ブラケットを購入し、バルブスピンドルの横に自動記録器を磁気で装着すべきです(参照:図1.4)

    地中消火用給水栓の上では、音響自動記録器を配置するのに適した場所を見つけることが難しい。自動記録器を給水栓の内部にはめ込み、しっかりと接続し外から見えないようにするには、カスタム設計の自動記録器が必要となるかもしれません(参照:図1.5)

    盗難の恐れがある場合、自動記録器のカムフラージュや最新型のロック装置が必要になることがあります。図1.6は、ステンレススティール製のぞき穴を持つ音響自動記録器と、自動記録器を給水栓に固定するためのスチール製ケーブルタイを示しています。

    標準的なGSM波長は、ピークからピークまでが約30cmです。したがって、地下にあるSMS自動記録器のアンテナを移動すると、信号品質に大きな差が生じる可能性があります。GSMネットワークタワーに関する保守作業は定期的に実施されており、信号ピークの位置合わせで数センチ移動する可能性があります。境界信号を使っている場合、アンテナを移動する必要があります。地下からの通信ができないくらい信号が弱い場所がよくありますが、その場合には別の場所へ自動記録器を配置する必要があります。そうしないと、モニタリングネットワークに小さな隙間が生じます。

    通常、他のユーティリティの「備品」に無線リピーターを取り付ける場合、許可を得る必要があります。市町村ごとにそれぞれの装備があります。一部の場所では、1つの会社が全てのユーティリティを管理しています。地方自治体が全てのユーティリティを管理しているところもあります。ユーティリティごとに民間企業が管理しているところもあります。ここでの目的は、できるだけ多くの選択肢を持つことと、5~15メートルの高さにリピーターを取り付けることです。無線リピーターの典型的な設置ポイントは次の通りです:

    • 街灯
    • 電柱
    • 信号機
    • 歩道橋
    • スポーツ施設の照明灯
    • 下水ベント
    • 給水塔
    • ビル

    自動記録器への無線通信ができないようなチェンバーはほとんどありません。チェンバーの深さと構造は、信号が上に放射されるか外に放射されるかを決定します。信号が上方向へ放射される場合、無線リピーターは、自動記録器から15~20メートルの範囲内で設置する必要があります。外に向かって放射される場合、無線リピーターは、通常、自動記録器から100~150メートル離して設置することができます。

    図1-7 データ収集装置の配備

    給水塔や高いビルの頂上など、高い場所にデータ収集装置を設置すると、必要となる機器の数が大幅に削減できます。設置が完璧であれば、1つのデータ収集装置で40~50のモニタリングポイントに対応できます。これにより、資本支出およびGSM通信の継続的な運用コストが減少します。図1.7に示したデータ収集装置は、このような理想的設置場所の事例です。

    データの収集と検証

    恒常的的漏水モニタリングプロジェクトの最初にいくつかの目標を設定し、プロジェクトの成功を吟味できるようにするのが一般的です。主に、データの信頼性や最適な配置距離が、このような基準の主要ポイントとなります。

    全ての自動記録器がデータを毎日送信できなくなるようなイベントは、よく発生します。それを防止するという高い目標を掲げるのは非現実的です。条件の違いを識別し、装置の弱点を知っておくことが重要です。典型的な通信問題の原因としては、次のようなものがあります:

    • 自動記録器およびアンテナが冠水した。
    • 自動車またはトラックが自動記録器の上に駐車している。
    • 自動記録器の上に厚い積雪の層がある。
    • SIMカードが故障している。
    • 信号強度が弱い。

    音響聴取スティックは、結果の異常性を確認するための最小ノイズを表す数値を持っていますので、これを使ってデータを検証すべきです。漏水のノイズは、漏水から離れたポイントで大きくなることがあります。別のパイプ材料で修理が行われていたか、またはマップに間違いがある場合、このようなことが置きます。

    図1-8 音響ノイズ自動記録器からの履歴データ

    データの履歴は十分に一貫しているか、または1つのパターンを形成しているはずです。パターンは役に立ちますが、その理由を説明する必要はありません。一貫性またはパターンが存在しない場合、別の自動記録装置を同じ場所に配置し、比較することで、データの信頼性を検証すべきです。図1.8は、一貫したデータの例を示しています。

    プロジェクトの目標では、システムが発見すべき漏水の種類について、基準を指定すべきです。「本管において毎分10リットルを超える漏水を全て発見する」というのは、このような目標の一例です。自動記録器から次の自動記録器までの配備距離は、プロジェクトの目標、圧力パイプの直径およびパイプ材料に依存します。このような配備距離は、80メートルから500メートルの間で変化します。配備間隔に応じて、必要となる自動記録器の数が変化し、プロジェクトの経済的な実行可能性が著しく変化するかもしれません。目標を定義したら、漏水をシミュレートして装置の性能を評価し、最適の範囲が見つかるまで異なる配備距離で実験すべきです

    誤認アラームの取扱い

    最も高度な漏水モニタリングシステムを使ったとしても、誤認アラームはある程度まで不可避です。漏水の代わりに機械的および電気的なノイズを追いかけないようにするため、慎重にデータを評価すべきです。オペレータが漏水を探すために現地へ行き、漏水でない定常的なノイズ源を発見した場合、ノイズの詳細とノイズの場所を知らせるべきです。これにより、システムのインテリジェンスを向上させて再発を防止することができます。

    図1.9 音響自動記録器に記録されたノイズの定常性とノイズレベルの画面キャプチャ
    図2.0 音響自動記録器が検出した周波数スペクトラムの画面キャプチャ

    高度な自動記録器は、ノイズレベルだけでなく周波数も分析して、誤認アラームの数を減らします。図1.9において、自動記録器は、高いレベルの定常的ノイズを記録していますが、図2.0に示された周波数データを分析したところ、漏水の可能性は1%であるという計算結果が出ました。

    戦略的場所に配置された貯水ゾーンに流量計がある場合、これらのモニタリングポイントから来るデータは、音響データと相互参照し、修理チームを派遣する前に漏水の有無を確認できます。システムの小さなゾーンに閉じこめなくても、このような流量モニタリングは実施可能です

    運用手順の変更点の管理

    作業条件の変化を反映させるため、運用手順を導入する必要があります。

    • コールセンターへ漏水が報告された場合、現場スタッフに指示を出す前に、漏水モニタリングシステムへアクセスできるエンジニアまたは技術鑑定者に通知します。
    • 配備方法に関する情報および自動記録器の位置を示したマップを現場スタッフに渡し、どこに自動記録器がどこにあるかがわかるようにすべきです。
    • 給水栓を使うことが許された下請け業者には、自動記録器をお土産に持ち帰ったり不正確に配置されたままにしたりしないように、自動記録器について助言を与えておく必要があります。
    • 現場クルーは、漏水モニタリングシステムの目的について教育しておくべきです。これらのクルーが漏水の場所を特定する責任を持っているなら、全てのデータの解釈方法についても教えておくべきです。

    作業部隊が、システムは仕事を助けるものであり、職を奪うものではないのではないと感じるように、変更の管理はデリケートに行うべきです。報告システムを導入または変更し、正確な位置、漏水のサイズ、修理方法、可視性、パイプ材料およびパイプ直径が特定できるようにします。このような情報は、全ての漏水について収集し、装置の性能を評価するのに使うべきです。漏水データベースに保存しておくべきです。後日、パイプ交換の優先順位を決めるのに使うことができます。

    パイプの修理が終わった後、さらに漏水があるかどうかを再度チェックするのが普通ですが、漏水モニタリングシステムを使えば、この手順を省くことができます。

    運用上のメリットは何か?

    漏水モニタリングの運用上のメリットは、それぞれの組織が設定した目標に依存します。典型的な運用上のメリットは次の通りです:

    • 漏水の継続時間を減らす。
    • 漏水を探すための工数を減らす。
    • 漏水探索を実際に漏水のあるエリアだけに集中できる。
    • ネットワークの知識が増大する。
    • 漏水が発生した時、大きな事故になる前に漏水に気付かせる。
    • 夜間作業や残業を減らす。
    • 日中には聞こえない、または小さな複数の漏水に隠された静かな漏水を発見する。
    • 顧客の漏水も含めて、あらゆる水を節約する。
    • 初期段階に介入することで修理コストを減らす。
    • 広報活動を向上させる。

    漏水モニタリングシステムを使ったエンジニアが証言する運用上の利点

    「漏水位置を相関する音響記録システムは、探索、場所識別、ピンポイントという段階的場所特定機能を備えていますので、我々は漏水位置特定の作業とコストを98%削減し、漏水の継続時間を平均して1.5日に短縮しました」Frank Tantzky, Albstadtwerke、ドイツ

    「漏水調査のために雇っている漏水対応オペレータの数を減らし、残業の量を減らすことができました。これにより、作業時間を減らして財政的な節約をするという課題を満足することができます」匿名希望、フランス

    「運用上のメリットは、漏水が表面化する前に特定できること、および現在の結果と以前のデータを比較して変化を見つけ、よりインテリジェントなネットワークにできることです」 Malcolm Hill, South East Water、オーストラリア

    「漏水現場への反応速度が著しく向上。

    修理接続における間違った作業実務を発見。教育と正式な手順によって基準を改良し、間違った実務による漏水の傾向を減らすことができる(中略)良いまたは悪いネットワークインフラに関する知識が向上(中略)漏れているタンクなど、顧客側の問題点も解決できました。これにより顧客との関係が改善され、付加価値を提供し、課金の苦情を減らすことができます」匿名希望、中東

    資本回収期間の計算

    トライアルの終了時またはプロジェクトの立ち上げ時には、投資の回収期間を計算し、このプロジェクトを延長した場合の回収期間を予測するのが一般的です。この計算の精度は、プロジェクトの前および後に収集したデータの品質によって影響を受けます。モニタリングシステムを設置する前に、このゾーンで実施した最近の漏水調査があった場合、自然立ち上がり速度を時間経過に伴う基準数値に適用して、真の節約を反映させるべきです。

    一般的な検討事項は次の通りです:

    • 購入した装置の費用
    • 通信の費用
    • 設置の費用
    •  水の節約(生産コストと小売価格で計算)
    • 漏水検出および修理の労務費の削減
    • エネルギーと炭素排出の削減

    漏水モニタリングシステムによって与えられた水節約について、一連のエンジニアに質問したところ、次のような回答が得られました:

     「この技術を使って、我々はMNFを0.4L/S、漏水イベントの平均継続時間を1.5日に継続的に維持できるようになったので、水損失をこれまでにないくらい低いレベルに抑制できました」Frank Tantzky, Albstadtwerke、ドイツ

     「漏水計算は完全ではありませんでしたが、多くの漏水を発見し修理してきました。現在では、恒常的モニタリングシステムを使って発見した漏水は、測定され分類されるようになっていますので、漏水のサイズや水損失をよく理解できるようになっています。漏水削減効果の数字を正確に計算するため、現在はDMAを設置中です」匿名希望、中東

     「音響記録は我々の唯一の損失対策であり、これが水損失を減らす最も迅速で最も効果的なソリューションであると考えています。最初の3ヶ月間、トライアルエリアにおいて水損失を30%削減しました。現在、我々は、ネットワーク全体をカバーするための音響記録装置を注文しています」Karl-Heinz Beißwänger, Zweckverband Eislingen、ドイツ

     「人口100万人の町に淡水を供給し、2000キロメートルの配管があり、30%の水損失があったとすると、漏水モニタリングシステムが経済的に成り立つようにするには、水損失をわずか2.5パーセント減らすだけで十分です」匿名希望、中東

    プログラム延長の可能性

    高い水コスト、高い労務費または大きい水損失の水道局は、恒常的漏水モニタリングシステムの資本回収期間が比較的短期間になります。欧州の水道局からのフィードバックによれば、資本回収期間は、能動的漏水制御(ALC)を実施していなかった水道局についてはわずか3ヶ月、良好なALCを実施している水道局については18ヶ月です。

    新しい処理場、ダム、または貯水槽を建設することと比較すると、漏水モニタリングシステムがこのような投資を先延ばしにできるくらい十分な節約を生み出すなら、これは魅力的な代替策となります。

    干ばつの季節または降雨の少ない国において、恒常的漏水モニタリングは有効性が高いでしょう。

    水損失を減らし環境を保護するという政治的なメリットは、恒常的漏水モニタリングを設置するための促進要因ともなりえます。

    図2.1 固定AMIネットワーク上で結果を送信するように改造された音響自動記録器

    2つ以上のモニタリングシステムをワンセットのインフラと組み合わせると、より効果的な恒常的漏水モニタリングシステムを立ち上げることができます。すでに我々は、多くの音響自動記録器メーカーがAMIメーカーと協力して、無人メーター検針および漏水検知システムを提供していることを知っています。(参考:図2.1  Aclara および GutermannのSTAR Zonescan)

    漏水モニタリングシステムの実現に関する最終判断は、環境、政治、および経済の諸要素の組み合わせに基づくのが普通です。資本回収期間が十分に短く、週や月単位であった漏水継続時間を時間または日単位に短縮する能力がありますので、環境意識の強い人を十分に説得できるでしょう

    結論

    収集した情報によれば、恒常的漏水モニタリングは長年にわたって実施され、多くの技術的問題がすでに解決済みです。

    恒常的漏水モニタリングにより運用上の節約と水損失の節約の両方が与えられます。これらの節約には次のものが含まれます:

    • 漏水の持続時間を減らす。
    • 漏水調査を行うのに必要な労働力を減らす。
    • 漏水を正確に特定するのに必要な労働力を減らす。
    • 通常の漏水調査では見逃すような静かな漏水を発見する。
    • 小さなバーストを発見し、それが大きくなる前に修理する。
    • 顧客側の漏水をいくつか発見することで、顧客との関係が良好になる。
    • 配水ネットワークおよびその問題エリアについての知識が向上する。
    • 水損失を減らすための迅速で効果的なソリューション。
    • 水損失を低い水準で維持する。

    恒常的漏水モニタリングを作り上げるには大きな資本投資が必要ですが、多くの場合、DMAを作るのと同等か、それより安くなります。DMA建設では、パイプ増加作業、設計エンジニアリングおよび水圧モデル化が大きなコストとなりますが、これらは恒常的漏水モニタリングシステムでは不要です。

    水収支は貯水ゾーンで計算可能であり、漏水の多いゾーンに漏水モニタリングシステムを設置すれば、DMAを設置して2年待たなければ達成できない節約が、数週間のうちに達成できるでしょう。

    本稿の調査に協力したいくつかの水道局は、恒常的漏水モニタリングの投資回収期間を12~18ヶ月と計算しています。

    各ネットワーク内部のゾーンに応じて非収益水戦略を変化させるのは、良い実務のやり方です。恒常的漏水モニタリングは、漏水の多いゾーンでは迅速に成果を出して投資回収期間も短くなりますが、漏水の少ないゾーンでは、DMsや圧力管理が良いソリューションとなります。

    参考文献

    • 「恒常的モニタリングはEislingenにおける水損失を減らす最も速い方法:Karl-Heinz Beißwänger / Zweckverband Eislinger Wasserversorgung(ケーススタディは未発行
    • 「恒常的漏水モニタリングによる運用効率」Frank Tantzky、Albstadtwerkeネットワーク運用マネージャ(2011年ロンドンのグローバル・リーケージ・サミットでのプレゼンテーション