ドイツ/ ALBSTADT:テレメトリは漏水検知コストを大幅に削減

Albstadt地方は、高低差が400mにもなる3つの谷に広がっています

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はじめに

Albstadtは南西ドイツにある町で、シュトゥットガルトの南、約80kmのところにあります。Alstadtwerkeは、飲料水、天然ガス、および電力を供給する、この地域のユーティリティ分配網供給者です。Albstadtwerkeは、Albstadtの地域配分資産を管理・維持するだけでなく、さらに2つの飲料水分配網、7つの天然ガス分配網、および1つの電力供給を運用し維持しています。

Albstadtwerkeは、80人の従業員で、ネットワークと施設の運用および建設全体を引き受けて、効率的な経営を行っています。現在の方法論を継続的に評価し、溝掘り不要のパイプ設置および漏水検知において革新的な方法を導入するというのは、長年にわたってこの会社の方針となっています。

ここでは、水の損失を減らす革新的な技術における広範囲の経験や、ネットワークを継続的に監視し漏水が発生したらすぐに警報を出す我々の最新システムについての情報を記載します。

典型的な石灰岩の土壌

課題

図1はAlbstadt 地方の写真で、ここは3つの谷に広がっており、高低差が400mもあります。このような地理的形状は、次のような複数の運用上の難題を作り出します:

  • 多数の異なる圧力ゾーン;
  • 長い区間の大口径本管; および
  • 保守スタッフがネットワークの端まで長距離を車で行く必要がある。

供給水の約50%は、我々の生水集水施設から取られており、我々の水処理場の複数工程で処理され、高品質の飲料水となります。残りの50%は、合計3つの供給業者から購入しています。ここは、欧州で最大の湖の1つ、コンスタンス湖から約80km離れています。

無收水は20%(500,000立法メートル)であり、1年前から10%増加しています。無收水のパーセンテージが上昇したのは、総消費量が50%減少したためです。水の損失量は同じままです。

土壌は石灰岩ですので、表面の水はけがよく、漏水があってもほとんど目視で確認できません。25L/Sという大量の水が漏水によって地下に消えました(図2)。我々は、最初にBraunhartsberg貯水ゾーンを調査しました。このゾーンは、鋳鉄、UPVC、ダクタイル鋳鉄を混合した52kmの配管から構成されており、漏水検知を困難にする要因がほとんど含まれています。

流量計の設置
ZS820ロガーおよび無線リピーターの設置

水損失の新機軸

ネットワーク効率を向上させるための我々の最初の戦略は、貯水槽オーバーフローに流量計を設置し、データを毎日オフィスに送信し、最小夜間流量(MNF)が上昇したらアラームを通知するというものでした。これは図3に示されている通りです。我々は、MNFが上昇したことを通知する警告に加えて、漏水の大きさを数量化できます。

チームをバンで派遣して無線通信機能付きノイズロガー(自動記録器)(図4)を設置し、走行中にデータをダウンロードし、翌日に調査して漏れの場所を特定し、地上マイクと相関器を使って漏水の正確な位置をピンポイントで特定するという漏水検出方法を実施しました。我々は、この装置を長年使い慣れており、無線通信機能付き自動記録器だけでも十分に有用であることを知っています。自動記録器は、音をきれいに記録するため、磁気装着を使ってパイプラインに直接取り付けられます。このような大きなゾーンで漏水を見つけるには、2人のクルーが毎日片道1時間の運転をして5~10日かかります。

効率向上のための次の戦略は、ゾーン内に追加の流量計を設置し、ゾーン内のより小さな面積で漏れ位置を特定し、漏れを探すのに費やす時間を減らすというものでした。

我々は、サブゾーンに流れ込む総流量を測定または分析するわけではなく、毎日の流量に大きな変化があるかどうかを調べて漏水の位置を特定するだけです。

Zonescanネットソフトウェアで表示されたBraunhartsberg圧力ゾーンから構成されたゾーン全体の漏れモニタリングが完全に自動化できるようになりました。

我々の次の改善策-最適のソリューションは?

上記のシステムを使って、我々は良好な結果を出すことができました。しかし、測定されたデータをオフィスに持ち帰って詳細な分析を行い、次にクルーを派遣して漏水をピンポイントで特定して修理するためには、一定の仕事量が常に必要となっていました。

我々の地理的条件のため、自動車でオフィスに戻ってデータを分析し、再び現場へ行ってピンポイントで漏れを特定するには、大量の時間を費やしていました。

このため、我々は、データをオフィス内にいる責任者へ毎日送信し、反応時間および移動時間を減らすようなシステムを導入することに決定しました。

ノイズ自動記録器がネットワーク全体に配備されました。以前と同様に、これらはノイズレベルや音を記録します。事前に決められた限界値を超えたら、ロガー(自動記録器)は漏水アラームを本部に送出します。それぞれのロガーはリピーターと無線で接続されています。全てのリピーターはデータ収集器(ALPHA)と接触しており、無線を使ってデータをリピーターおよびGPRSから収集し、サーバーにデータを送信します。こうして、我々は、測定データにすぐにアクセスし、漏れの評価を行うことができます。

地理的ネットワークデータを使ってシステムをモデル化することにより、ロガーは、ネットワーク内での自分の位置を認識し、「隣接する」ロガーとの関係を作り出すことができます。この事実により、ロガー間に直接的な相関ができますので、漏水をきわめて正確に特定できるようになります。

設置は簡単かつ低コストであり、分配システムに構造的変化を与えることはありません。

Braunhartsberg圧力ゾーンには80の自動記録器、42のリピーター、2つのZonescan ALPHAが配備され(図5)、52kmものパイプから構成されたゾーン全体の漏れモニタリングが完全に自動化できるようになりました。

評価 

  • 通信信頼性:通信は非常に良好で、地表近くにアンテナを設置する必要はありませんでした。
  • バッテリー寿命:冬に–30°C、夏に+30°Cの温度範囲で稼働しています。Zonescanで12ヶ月運用していますが、何の問題もありませんでした。

モニタリングプラットフォーム

データはGutermann ウェブサーバー上でホスティングされており、ログインすることでZonescanネットソフトウェアにアクセス可能です。このソフトウェアプラットフォームにはマップ作成、振幅分布図、周波数スペクトラムおよび相関データの機能があります。図5は、Zonescanネットソフトウェアのマップを表示しています(緑、オレンジ、および赤のドットがロガーです)。カラーコードの緑は漏水なし、オレンジは漏水の可能性、赤は漏水の高い可能性を示しています。曖昧なオレンジのドットは相関された漏水の位置を示します。

衛星写真でロガーを表示することも可能です。これにより、方向性がよくわかります。このような特定の漏水が発生したとき、15を超えるロガーの組み合わせによる相関で特定され、2月9日に修理が始まり2月10日に修理を終えるという、記録的な短時間で漏水を修理しました。

機械的雑音を特定できますので、漏水ではないノイズを探すときに無駄な時間を省くことができます。

相関図
クロススペクトラム図

図6.1は相関図であり、配管上のノイズ位置を示しています。ここでは、自動記録器1から22.9メートル、自動記録器2から63.6メートルという大きなピークを持つ漏水の位置を特定しています。

図6.2は、検出されたノイズの周波数スペクトラムを示しています。通常漏水は高い周波数ですが、50~150Hz帯の低周波数ノイズにより誤ったアラームが作られる可能性があります。

このような分析の全ては、従業員が現場に出かける前に、オフィス内で実施されます。漏水は図7で見ることが出来ます。Zonescan システムで提供された相関は、実際の位置から0.5メートル未満でした。

Zonescan Alphaで発見された漏水

結論

この技術を使って、我々はMNFを0.4L/S、漏水イベントの平均持続時間を1.5日に継続的に維持することができ、かつてないほど水損失を低いレベルに抑制することができました。これに加えて、位置特定の作業およびコストを98%削減できました。

配管ネットワークの優れたマップを使うことで、Zonescanは漏水の位置を正確に示します。開削コストが3,000ユーロであることを考慮して、掘る前にグランドマイクで漏水位置を確認しています。

特に寒い日で、地上に厚く雪が積もっている場合でも、通信には問題がありませんでした。

我々は、経験豊かな漏水対応チームでも発見できなかったような小さな漏水を発見しており、漏水探索者たちは、これは虫の咳払いさえ聞き取れると言っています。

著者

Frank Tantzky (email: frank.tantzky @albstadtwerke .de)はAlbstadtwerkeのネットワーク運用マネージャです。元の原稿は2011年ロンドンでの「グローバル・リーケージ・サミット」で紹介されました。

この原稿が「グローバル・リーケージ・サミット」で紹介されて以来、Albstadtwerkeは、ネットワーク内のさらに広いエリアに機器を設置し始めており、拡大は今でも続いています。